ぶんぶーん!
今回は、カベルネ・ソーヴィニヨンと並ぶ赤ワイン二大品種の一つピノ・ノワール種を持ってきたよ!
ピノ・ノワールとは?
ピノ・ノワールの特徴
ピノ・ノワールは、果皮が薄く、タンニンが穏やかで高い酸味が特徴です。色合いは薄く、タンニンも穏やかで繊細なワインを造ります。基本的に冷涼な環境が好みで、他の品種と比べると熟成が早く早熟な品種となります。カベルネ・ソーヴィニヨン種やメルロー種とは異なり、複数のブドウとブレンドせず単一品種(ピノ・ノワール種のみを使用する)で造られることが多いです。
非常に気難しい品種としても有名で、ちょっとした環境の変化にブドウの出来栄えが左右されます。そのため一大産地のブルゴーニュでは、ヴィンテージによって味わいが大きく異なるだけでなく、同じヴィンテージでも地区によって(僅かな環境な変化によって)仕上がりが大きく変わってきます。
また、赤・ロゼワインだけでなくフランスではシャンパーニュの原料として、イタリアではフランチャコルタの原料などで使用されており、スパークリングワインにとっても欠かせないブドウ品種になります。
育成環境の変化に敏感だからこそ、各産地の個性を表現する一面があるんだね!
世界最古のブドウ品種!
世界最古のワイン用ブドウ品種のひとつであり、2000年以上昔から栽培されてきた歴史を持つ偉大なブドウ品種です。ピノ・ノワールから様々な品種へと派生しています。現在のカベルネ・ソーヴィニヨン種やシラー種、ミュスカデ種、ガメイ種、アリゴテ種、シャルドネ種、ピノ・グリ種、ピノ・ブラン種に至るまで多くの品種の元を辿るとピノ・ノワールに繋がっていきます。
香りや味わい
香り
熟成が若いワインでは、いちごやラズベリー、スミレの香り。熟成が進むと紅茶やキノコの香りが出てきます。また、鉄分を思わせる動物的な香りやスパイシーな香りなど産地によって様々な香りがあります。
味わい
黒ブドウ品種の中でも酸味が強く、渋みは穏やかな味わいです。冷涼な地域ではボディは軽く、温暖な地域では果実味が豊かなワインを造ることもあります。
新世界(アメリカやニュージーランドなど)と呼ばれる産地では、果実味が強く力強いピノ・ノワールが生産されています。
品種名の由来・各地の呼び方
品種名の由来
ピノ・ノワール〈Pinot-Noir〉のピノ〈Pinot〉は、フランス語で「松ぼっくり」を意味する〈Pin〉が由来となっています。また、ノワール〈Noir〉はフランス語で「黒」を意味しており、直訳すると黒い松ぼっくりという意味になります。小さい粒がたくさん詰まっているピノ・ノワールの姿が松ぼっくりに見えるため、この名前になったようです。
ピノ・ノワールの各地の呼び方
- フランス ジュラ地方 グロ・ノワリアン〈Gros Noirien〉
- イタリア ピノ・ネロ〈Pinot Nero〉
- ドイツ シュペートブルグンダー〈Spätburgunder〉
- スイス ブラウブルグンダー〈Blauburgunder〉シュペートブルグンダー〈Spätburgunder〉クレヴナー〈Clevner〉
- オーストラリア ブラウアー・ブルグンダー〈Blauer Burgunder〉
原産地と主な生産地
原産地
原産地はヨーロッパ東部エリア・ブルゴーニュ付近だと言われております。
主な生産地
- フランス ブルゴーニュ地方、シャンパーニュ地方、アルザス地方
- アメリカ オレゴン州、カリフォルニア州
- ニュージーランド マールティンボロ、セントラル・オタゴ
- オーストラリア ヴィクトリア州
- ドイツ バーデン ファルツ
- イタリア ロンバルディア州 北部
- スイス ヴァレー州、アールガウ州、
- チリ
2000年代初め、ピノ・ノワールは「ブルゴーニュ以外では上手くいかない」とされていましたが、近年世界中でピノ・ノワールの栽培が広まっています。温暖化によって栽培に適した産地の緯度が変化していき、今後も生産地の変化があると予想されます。これまで適正な産地とされていたブルゴーニュやドイツなどでは、温暖になった影響で糖度や果実味が増え、結果としてアルコール度数が高くなってきている傾向にあります。
栽培と醸造
ピノ・ノワールは、栽培が非常に難しい品種とされています。理由としては、ブドウの粒が密集し果皮も薄いことから空気が循環せず薄い果皮にカビが繁殖しやすいことが挙げられます。そのため他のブドウ品種に比べ生産者の細かな管理を必要とする品種でもあります。ただ、農薬を多用したりするなどの人工的な管理ではなく、ビオディナミや有機栽培に積極的に取り組む生産者が増えてきています。自然派の造り手は、特に生産規模の小さいワイナリーが多く、手間を惜しまず自然な栽培を目指す信念と気難しいピノ・ノワールという繊細な品種との相性が良いのかもしれませんね。
また、以前はあまり良くないとされていたブドウの房を全て使用した全房発酵〈除梗をしない〉を取り入れる生産者も増えてきているようです。
ハッチも全房発酵〈一部使用も含む〉を取り入れたワインが大好きです!フランスのダヴィドデュバンという生産者が全房発酵を行っており、初めてダヴィドさんのワインを飲んだ時は衝撃的な美味しさでした。また飲みたいな〜
世界の有名生産地
フランス🇫🇷
世界中のピノ・ノワールファンの聖地ブルゴーニュが一大産地となっております。
他には、スイス国境沿いのジュラ・サヴォア地方やドイツ国境沿いのアルザス地方、シャンパーニュ地方などでピノ・ノワールを生産しています。近年は、温暖化により気温の上昇によって完熟したブドウが収穫しやすくなった一方で、大気の状態が不安定になることが増え、大雨や霜、雹、干ばつなどの自然災害が頻繁に起こるようになりました。ヴィンテージによる味わいの差が明確になりましたが、素晴らしいヴィンテージも多く誕生しました。ただ生産が不安定になる年も出てきたため、新たに海外にも生産の場所を探し求める大手生産者も増えてきました。
アメリカ🇺🇸
1979年にグルメガイド「ゴ・エ・ミヨ」が主催したテイスティング大会で、アメリカのオレゴン州のジ・アイリー・ヴィンヤーズがピノ・ノワールの品種で優勝した出来事がありました。当時ブルゴーニュ以外の産地のピノ・ノワールが優勝したことはなく、世界に衝撃を与えました。その後、フランスのボーヌで活躍するメゾン・ジョセフ・ドルーアンがオレゴンに進出し、ピノ・ノワールの産地として知名度を高めていきました。
特にオレゴン州のウィラメット・ヴァレーは、冷涼な気候で高貴なピノ・ノワールを生産する産地として注目を浴びています。カリフォルニア州ナパヴァレーとソノマにまたがるロス・カーネロスでは、冷たい海の影響もありピノ・ノワールを使用した高品質のスパークリングワインを楽しむことができます。
ニュージーランド🇳🇿
新たなピノ・ノワールの名産地。マーティンボローとセントラル・オタゴが有名です。
マーティンボローはブルゴーニュと気候が似ており、ニュージーランドのピノ・ノワールを国際的に知らしめた地域です。セントラル・オタゴは、世界最南端南緯45度に位置するワイン産地の一つで、日照量が多く紫外線量が多いため果皮が厚くなります。その結果、果実味に富みタンニン量も豊富なブドウを造ることができます。また、昼夜の寒暖差が20度以上差がある時期もあり高い酸を持つ世界的にも高品質のピノ・ノワールを生み出す産地です。
イタリア🇮🇹
イタリアでは、ピノ・ノワールではなく「ピノ・ネロ」と呼んでいます。イタリアで生産されているピノ・ネロのほとんどはロンバルディア州で栽培され、多くはスパークリングワインの「フランチャコルタ」や「オルトレポ・パヴェーゼ」にて使用されています。
ヴェネト州では、世界的に人気なスパークリングワインの「プロセッコ」が2021年1月からロゼが認可されるタイミングで、ピノ・ネロを原料にできることが新しく決まりました。
チリ🇨🇱
カベルネ・ソーヴィニヨン種やカメルネール種が有名なチリですが、実は最近ピノ・ノワールの躍進が大きいエリアでもあります。生産コスト(人件費や土地代など)を抑えてワイン造りができるだけでなく、世界中の醸造家がブドウ栽培に最適な地中海性気候のチリに興味を示しています。
今後、安く美味しいコスパワインだけでなく、世界中のワイン通を唸らす素晴らしいピノ・ノワールを輩出する生産地として人気が出てくるかもしれません。
「ブルゴーニュの貴婦人」とも言われる品種ですが、実際に飲んでみるとチャーミングだったりエレガントだったり味わいに幅がある品種だと思います!世界各地のピノ・ノワールを飲んで産地の個性を体験してみよう!