ぶんぶ〜ん。美味しいブドウ運んできたよ!
今回紹介するのは、赤ワイン品種の女王と呼ばれるカベルネ・ソーヴィニヨン!
カベルネソーヴィニヨンとは
カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴
カベルネ・ソーヴィニヨンは、小粒で黒味を帯びているのが特徴で色の濃いワインを造ることができます。
タンニンが多く含まれ渋みが強く、他の黒ブドウ品種に比べて酸味も高いためワイン全体の骨格がはっきりしています。若いうちは香りが閉じやすく、未熟なカベルネを使用したワインはピーマンのような青臭さが残ります。しかしこの青っぽい香りがカベルネ種の最大の特徴とも言えます。
他のブドウ品種とブレンドすることも多く、フランスではメルロ種やカベルネフラン種、シラー種、イタリアのサンジョヴェーゼ種、オーストラリアのシラーズ種、スペインではテンプラニーリョ種とブレンドされる。
カベルネ・ソーヴィニヨンは寿命が長い!
カベルネ・ソーヴィニヨン種は、強靭なタンニンが含まれておりワインを酸化から守ることができ、数十年以上に渡ってワインを熟成することができます。また、高い酸と豊富なタンニンによりゆっくり熟成が進み、10年以上熟成させたカベルネはバランスがよく非常に緻密な渋みへと変化していきます。若いカベルネ種は荒々しく力強いタンニンが特徴的ですが、熟成が進むと上品な触感へと変化し上質なワインに生まれ変わります。熟成された上品なワインを讃え、カベルネ・ソーヴィニヨン種は「ワインの女王」と呼ばれています。
香りや味わい
香り
メントールやミントのようにスーッと通る香りが特徴的です。
涼しい地域で栽培されたブドウや若く未熟なブドウからは、ピーマンなどの青っぽい香りがすることもあります。太陽をたくさん浴び熟したブドウからは、赤系果実〈ラズベリー〉や黒系の果実〈カシスやブラックチェリー、プラム〉などの香りを楽しむことができます。
味わい
中重口〜重口で非常にバランスの取れた味わいです。熟成が進むにつれ酸味と渋みが落ち着き、シルキーな口当たりへと変化していきます。果実の凝縮感もあり、収穫されるエリアの日照時間などによってワイン全体のボリュームが変化します。
品種名の由来
カベルネ・ソーヴィニヨンの名前の由来は、はっきりわかっていないようです。諸説ある由来では、「カベルネ(Cabernet)」については、
①ガスコーニュ語で古代エピルス〈ギリシャにある地域名〉をカルボネと呼んでいたこと。
②ギリシャのブドウ品種にカプニウスという品種がありそれが語源となったこと。
上記2つの説が有力な「カベルネ」の語源になっているようです。
また、「ソーヴィニヨン〈Sauvignon〉」は、カベルネソーヴィニヨンの親に当たるソーヴィニヨンブラン種から由来したものですが、もともとソーヴィニヨンの由来としては、フランス語で「野生」を意味する〈Sauvage〉が語源になっています。
※カベルネソーヴィニヨン種は、カベルネフラン種とソーヴィニヨンブラン種が交配して生まれた品種です。
原産地と主な生産地
原産地は、フランスのボルドーや南フランス、スペイン北部と言われています。
主な生産地は、
フランス(特にボルドーのメドックやグラーヴ地区、ロワール地方アンジェ地区、ラングドック、ルーション)、アメリカ(カリフォルニア州)、イタリア(トスカーナ州)、チリ、オーストラリア、スペイン、ブルガリア、ルーマニア、日本などが挙げられます。
栽培と醸造
世界中どこでも栽培されている品種で、基本的に土壌や気候の影響を受けにくい品種です。
また、果皮が厚くカビなどの病害にも強く樹勢も強いことも世界中で栽培されている理由として挙げられます。
ただ一般的には水捌けのいい土壌を好むとされており、フランスのボルドー地方の中でも水捌けに優れ保温性の高い砂利質土壌であるメドックやグラーヴ地区のカベルネ種が非常に有名です。
※メドックやグラーヴ地区は丘の上に位置し水捌けが良く、一方丘の下側ではよく一緒にブレンドされるメルロー種を植え、品種の栽培の棲み分けをしています。
ボルドーでは、カベルネ種は収穫時期が遅いため、早く完熟を迎えるメルロー種やカベルネフラン種を一緒に植え収穫時期を分ける事で自然災害などによる被害を最小限にしてブドウの栽培をしているケースが多いです。
水捌けの悪い粘土質のような土壌では、あまり水分を吸い上げない台木にカベルネ種を接木をして収穫量と品質をコントロールする方法もあるようです。
世界の有名生産地
フランス🇫🇷
カベルネ・ソーヴィニヨン種の産地で最も有名なボルドー地方のメドックやグラーヴ地区には、水捌けの良い砂利質の土壌が広がっており、カベルネ種を十分に完熟させる環境が整っています。近年は、なるべく農薬を使用しない自然な環境で栽培する生産者が増え、ボルドーの格付けワインとして有名なシャトーラトゥールやシャトーパルメ、シャトーポンテカネといったシャトーでビオディナミ〈自然農法の一つ〉を実践しカベルネソーヴィニヨンの栽培を行っています。
ボルドー地方では、メルロー種やカベルネフラン種、南フランスではシラー種といったブドウ品種とブレンドされることが多いです。
ボルドーでカベルネソーヴィニヨン種が広まった理由!
19世紀後半に、ボルドーのブドウがフィロキセラという害虫に襲われました。フィロキセラは、ブドウの根っこを食べてしまうため、散布用の農薬などの効き目もなくボルドーをはじめ世界的に大打撃を受けました。
その後、フィロキセラに耐性のあるアメリカのブドウ台木にヨーロッパ種を接ぎ木する方法で次第にフィロキセラの脅威を抑えることができましたが、当時ボルドーで植えられていたマルベック種やカルメネール種といったブドウ品種が、アメリカの台木との相性が悪く、代わりにカベルネ・ソーヴィニヨン種へと植え替えが進んでいきます。フィロキセラという大災害をきっかけにボルドーでは、カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培が盛んに行われるようになりました。
イタリア🇮🇹
イタリアでは、特にトスカーナ地方での栽培が顕著で、1968年に「サッシカイア」というワインが出た最初のヴィンテージでは、ボルドーの樽を使用したカベルネ種のワインを造りました。その後トスカーナ・キャンティ地区の自場品種サンジョヴェーゼ種とブレンドしてワインを造り「ティニャネッロ」や「ソライア」といった有名なワイン銘柄を数多く排出しております。
イタリアの原産地呼称の法律上、カベルネ種の使用は認められていないため法律上の格付けで言えば下のランクに当たる「Vino da Tavola」というクラスになりますが、それでも信念を貫きワイン造りを行っている生産者が数多く存在します。1994年には、あまりに「サッシカイア」の人気が高いことから「ボルゲリ・サッシカイア」という呼称でD.O.C.クラスへと昇格しました。最近では、これまで得意としてきた力強いボルドースタイルのワインからバランスの良いエレガントなワインを造る生産者も増えてきています。
アメリカ🇺🇸
温暖な気候を生かし、熟した果実と重厚なボディ、高いアルコールが特徴です。
1976年にフランス・パリで行われたテイスティング大会〈パリの審判〉で名だたるフランスの超一級シャトーのワインに勝利したことでカベルネソーヴィニヨンの新たな産地として注目を浴びました。特にカリフォルニア州のナパやソノマコーストといったエリアでは、凝縮度が高く新樽を使用した力強いワインを造ることでも人気があります。近年では、より冷涼なオレゴン州などのエリアでも栽培が広がっています。
単一品種でもブレンドしても良し、世界中どこでも栽培できる!と本当にオールマイティなブドウ品種だったね!産地によって酸味や香り、果実味が大きく異なってくるみたい。いろんな産地のカベルネ・ソーヴィニヨンを飲み比べしたいな〜