ぶんぶーん!
今日はみんな大好きなシャルドネを運んできたよ!
シャルドネとは?
シャルドネの特徴
シャルドネ種は、房は小さめから中くらいで粒は小さく粒同士密着しているのが特徴です。幅広い気候や土壌に適合できる上に、品質を保ったまま高い収穫量を得ることができる性質が、シャルドネ種が世界中で栽培されている大きな要因の一つとなります。また、「個性がない品種」「ニュートラルな品種」と言われるくらいはっきりとした個性がないからこそ、ブドウの生産地や栽培方法、醸造方法に至るまで様々な要因が複雑に絡み合い幅広いスタイルのワインを生み出すことができます。比較的コクが出やすい品種であるため、新樽やオーク樽での熟成に適しているブドウ品種でもあります。
シャルドネ種の血縁関係
ピノ・ノワール種とグエ・ブラン種という品種の自然交配によって生まれたことが近年のDNA鑑定によってわかっています。また、ミュスカデ種〈Muscadet〉、ガメイ種〈Gamay〉、アリゴテ種〈Aligote〉とは兄弟関係にあることも分かっています。
シャルドネにまつわるABC
かつてシャルドネは、ABC〈Anything but Chardonnay〉(≒シャルドネ以外ならなんでも良いよ)と揶揄されていました。世界最高の白ワインを生み出すブドウ品種である一方で、栽培しやすくどんな環境にも馴染むことから安価なシャルドネも世界中に広がったことが大きな背景としてあります。
しかし近年では、栽培技術や醸造技術も進歩し粗悪なシャルドネが減ってきており、昔のようにABCと揶揄されることも少なくなってきています。むしろCBA〈Chardonnay Brings Authenticity〉(≒本物志向のシャルドネ)と言い換える方も出てきているくらいその土地の個性を反映させた品質の高いワインが増えてきました。
際立つ個性が無いからこそ輝ける!「没個性」こそが最大の個性!
世界中の産地や色んな醸造法で造ったシャルドネを試してみたいな〜
香りと味わい
香り
青りんごや白い花、レモン、柑橘系の香り。樽熟成がされたシャルドネからは、トーストやアーモンド、ナッツやバニラ香が感じられます。
冷涼な産地では、緑色系の果実や柑橘系の香りがあります。また、温和な産地では、メロンなどの多肉系果実の特徴が出やすいです。温暖な産地では、白桃やマンゴー、バナナなどの熟したトロピカルフルーツのような香りがプラスされてきます。
味わい
冷涼な産地では柑橘系の爽やかな酸味が残りすっきりとした味わいです。温暖な産地では果実の熟成とともに酸味が穏やかになりトロピカルフルーツのような果実味を伴う傾向にあります。
品種名の由来と各産地での名称
品種名の由来
フランスのブルゴーニュ地方にシャルドネと呼ばれる村がありその名前が由来となっているそうです。
各産地での名称
- フランス🇫🇷 ピノ・シャルドネ種、オーセロワ種、オーベーヌ種、ムロン・ダルボワ種、ガメイ・ブラン種、ボーノワ種、ムロン・ブラン種
原産地と主な生産地
原産地
シャンパーニュ北部のマルヌからブルゴーニュ南部のリヨンあたりのエリアが原産地だと考えられています。1583年頃、当時シャルドネはボーノワ〈Beaunois〉と呼ばれていました。
主な生産地
- フランス🇫🇷 ブルゴーニュ地方、ジュラ地方
- アメリカ🇺🇸 カリフォルニア州〈ロシアン・ヴァレー・ヴァレー、ロス・カーネロス〉
- イタリア🇮🇹 イタリア北部〈ピエモンテ〉、シチリア
- チリ🇨🇱 カサブランカ・ヴァレー
- オーストラリア🇦🇺 アデレート・ヒルズ、ジーロング、モーニングトン半島、マーガレット・リヴァー
- ニュージーランド🇳🇿〈ギズボーン、マールボロ〉
- 南アフリカ🇿🇦 ウォーカーベイ
- 日本🇯🇵 北海道
栽培と醸造
シャルドネ種は、醸造方法によって様々な味わいを生み出すことができます。樽の種類〈ステンレスや木樽〉、樽の熟成期間、マロラクティック発酵の有無、熟成中に発生する澱〈酵母の死骸など〉との接触時間など様々な選択肢の中で生産者がより理想とするシャルドネ・ワインを造り上げていきます。
M・L・F〈Malolactic Fermentation〉とも呼ばれ、アルコール発酵が終わった時点のワインに多く含まれる「リンゴ酸」と呼ばれるシャープな酸を乳酸菌の働きによりまろやかな乳酸に変化させるための発酵のことを言います。
リンゴ酸は、青リンゴをかじった時のような口内がキュッと引き締まる酸で、乳酸はヨーグルトを食べた時のようなまろやかな刺激の少ない酸です。
酸を穏やかにすることで、バターのような深みのある香りがより感じられるようになります。
また、リンゴ酸は熟成過程で変質が起きやすいため、乳酸へ変化させることで安定した品質のワインを造ることができます。
全てのシャルドネを使用したワインでマロラクティック発酵を行っているわけではなく、生産者によって使い分けがされています。
1980年代頃からオークの小樽で熟成させたシャルドネが人気となり、現在にまでその製法が受け継がれています。豊かなコクと辛口ながらほのかなバニラ香が人気となりました。近年では、もう少し大きい樽を使用したりステンレスタンク、コンクリートを使用したコンクリート・エッグと呼ばれるタンクや造り手も増えてきています。新樽や小樽を使用したアプローチよりも控えめな醸造プロセスが人気となったこともあり、「テロワール〈産地の特有の個性〉」がより明確に感じられるようになってきているのが近年のシャルドネ種の傾向です。
また、白ワインだけではなくブドウの果皮を漬け込んで発酵・熟成させて造るオレンジワインと呼ばれるワインの原料としても人気が高い品種です。
世界の有名生産地
フランス🇫🇷
フランスでは、ブルゴーニュが一大産地になります。
ブルゴーニュ北部にあるシャブリ地区ではシャープでミネラル感あふれる酸味の強いワインが造られます。伝統的な樽醗酵・樽熟成を行う生産者やステンレスタンクのみを使用するモダン派生産者、ステンレスタンクで発酵を行い、樽醗酵でワインを仕上げる中間派などワインのスタイルが様々分かれます。
また、コート・ドール地区では、様々な表情のワインが造られ生産者による差が様々分かれます。さらに南に位置するマコン地区では、果実が十分に熟しフルボディな味わいのシャルドネが生産されます。
かつては、ブルゴーニュの中でもサン・ロマン村やオート・コート地区といった標高の高い場所は、果実が熟しにくいエリアとして生産が難しいとされていたが、温暖化の影響もあり近年新たなシャルドネの産地として注目されてきています。
ジュラ地方で造るシャルドネワインも注目度が非常に高まってきています。
これまでジュラでは、白ワインを造る過程で必要なウイヤージュ〈目減りしたワイン分を補充する工程〉やスーティラージュ〈澱引き作業〉を行わず放置し、産膜酵母と呼ばれる特有の膜を形成して仕上げた酸化した特徴を持つワインが造られていました。近年では、これまでの伝統的な製法を残しつつもブルゴーニュと同じような醸造方法を取り入れクリーンなシャルドネが人気を博しています。自然派の造り手が多い産地としても有名で、ナチュラルなスタイルのシャルドネワインも広く受け入れられています。
【地図参照元:vineyards.com(https://vineyards.com/wine-map/france)】
アメリカ🇺🇸
アメリカでは、果実味とアルコール度数が高いワインを多く生産していましたが、高い酸味でアルコール度数も穏やかなスタイルも台頭してきている産地です。アメリカのカリフォルニアでは、こうしたワインを「ニュー・カリフォルニア」という言葉で表現されており、これまでのクラシックなスタイルとパワフルなスタイルに並び多様性あふれるシャルドネを生産しています。
オーストラリア🇦🇺
少し前のオーストラリアのシャルドネは、黄色みを帯び南国のトロピカルフルーツを思わせる香りが特徴的でした。近年では、色も淡く、穏やかな印象のワインスタイルへと移行しつつあります。
個性が無いことが個性!世界中の産地の特徴を映し出し、生産者の理想とするワインに姿を変えるシャルドネは、なんだかカメレオンみたいなブドウ品種だね!