基本のブドウ品種

【ワイン知識】リースリングってどんな品種?産地と特徴をご紹介!

ハッチ

ぶんぶーん!
今日は高貴なブドウ品種と呼ばれるリースリングを運んできたよ〜

リースリングとは?

リースリングの特徴

リースリング種は、粒は小粒で黄緑色の果皮が特徴です。晩熟型で病害に強いです。耐寒性に優れるため冷涼な産地での栽培が多く、このような産地で栽培されたリースリングは高い酸味と上品な味わいを楽しむことができます。高い酸味があるため長期熟成に耐えるポテンシャルを持っているブドウ品種でもあります。特にドイツとフランス・アルザス地方で造られるリースリングが二大産地として非常に有名です。一方で、暖かい産地での栽培も可能で、日照量が多い産地では石油のような特徴的な香りが特徴の風味物質が増え、若いワインからもリースリングの特徴的な香りを楽しむことができます。
上記の石油のような香りは、リースリング最大の特徴で「ペトロール香」や「重油香」とも呼ばれプラスチックやキューピー人形、焼けたゴムや照り返すアスファルトのような香りだと表現することもあります。飲み物にある香りとしては、カモミールやリンデン(菩提樹の葉)の香りとも言われるそうです。冷涼な産地で造られたワインは、熟成とともにこれらの香りが出てくることがあります。

※ペトロール香は、一般的に〈特に日本では〉リースリングの特徴だとされてますが、一部生産者からは醸造による欠陥と認識している生産者もおり必ずしもポジティブな特徴とは言えません。日照時間や量、貯蔵中の温度が高くなると顕著に現れる傾向にあります。日本では、輸送中や貯蔵中の温度が高くなりやすいため意図しないペトロール香が発生する場合もあるようです。

近年のリースリングの動向

リースリングは、20世紀初頭から人気が高い品種でありましたが、その名声に甘えた結果、質を落とした大量生産型のワインが増えていきました。酒質の改善ではなく、糖度を残し質を誤魔化した甘みの強いリースリングを排出し続けたことで次第にリースリング〈特にドイツの〉=低品質で中甘口のブドウ品種としての認識が増えてきました。
1980年代頃から収量を抑え酒質を高めたリースリングがアルザスやドイツ、オーストリアで栽培されるようになりました。また、冷涼なエリアだけでなくカリフォルニアやオーストラリアなどの温暖なエリアで造られるボリューム感溢れるリースリングが認知されるようになりました。
※ドイツにおいては、1971年に施行されたワイン法が果汁の糖度によってワインを格付けする法律でしたが、2008年に導入された地理的呼称制度の導入によって産地の優劣によって格付けを行う法律に改善されたことも影響していると思います。

ハッチ

ワインから石油や焼けたゴムのような香りがするって不思議だね!

香りと味わい

香り

レモン、ライム、白い花や青リンゴ、白桃などの香りが特徴です。熟成が進むとドライフラワーやドライフルーツや蜂蜜のニュアンスが増え、熟成香が出てエレガントな香りになります。

味わい

きめ細やかなでシャープな酸味とバランスの取れた味わい。産地によっては、ボリュームのある果実味が出てくることもあります。

品種の名前の由来

ドイツ語で「流れる」を意味する〈Riesen〉が語源と言われています。ドイツ(旧フランク王国〉のライン河流域で盛んに栽培されていましたが、当時降水量が多く、花が落ちてしまいうまく果実が付かなかったことからこのような名前が付けられたとされています。

原産地と主な生産地

原産地

ドイツのライン河上流が原産地と言われています。

主な生産地

  • ドイツ🇩🇪 モーゼル地方、ラインガウ地方
  • フランス🇫🇷 アルザス地方
  • オーストラリア🇦🇺
  • オーストリア🇦🇹 ヴァッハウ
  • イタリア🇮🇹 北部
  • アメリカ🇺🇸 ワシントン州、オレゴン州
  • カナダ🇨🇦

醸造と栽培

リースリングの最大の特徴であるペトロール香を形成する風味物質は、「TDN〈トリメチル・ジビドロ・ナフタレン〉」という物質でブドウの房が太陽の光を浴びることで生成されます。
近年の風潮では、若いワインからこのような香りが出てくることはあまり良くないとされているため、樹冠(ブドウの葉のこと)を剪定せずあえて残すことで日陰を作り直接ブドウに光が当たらないようにコントロールする対策がなされています。
リースリングの香りで特徴的な白い花の香りを形成する「モンテルペン」と呼ばれる風味物質は、オーク樽から来る香り成分と相性が悪いため、オークの樽〈特に小樽〉で熟成されることはあまりありません。基本的には、ステンレスタンクでの熟成が多いですが、伝統的なアルザスやドイツ、オーストリアなどでは大樽で熟成させる方法が一般的です。
また、遅摘みしたブドウを使用したワイン〈ヴァンダンジュ・タルディヴ〉や貴腐ワイン、アイスワインなどで使用されたり多様なワインを造ることができます。

世界の有名な生産地

ドイツ🇩🇪

ドイツでは、モーゼルラインガウがリースリングの二大銘醸地として有名です。
その他では、ファルツ、ラインヘッセンで多く栽培されてます。

リースリング発祥の地とされるラインガウは、モーゼルよりやや温暖で、より果実味に溢れ厚みとバランスのあるリースリングが造られます。モーゼル地方では、清涼感があり飲み心地の良いリースリングが造られます。ラインヘッセン地方では、これまで中甘口のリースリングの最大の産地としての認識が強かったですが、最近では残糖に頼らず高品質な辛口リースリングを生産する産地として名が知られるようになりました。

【地図参照元:vineyards.com(https://vineyards.com/wine-map/germany)】

フランス🇫🇷

フランスでは、アルザス地方のリースリングが特に有名です。
ドイツのリースリングに比べ、果実味に富み深みとミネラル感がたっぷりのワインが造られます。
またアルザスの土壌は非常にバラエティ豊かで、栽培される産地によって風味や味わいが大きく変化し、テロワールの個性を表現したリースリングが造られます。また、アルザスではビオディナミ農法に取り組む生産者も増えリースリングの様々なスタイルを楽しむことができます。

これまでアルザスワイン=辛口のイメージが強かったですが、近年では温暖化の影響を強く受けやや残糖が残るワインが増えてきている傾向にあります。2016年ヴィンテージからは1Lあたり残糖が4g以下のワインには〈DRY〉や〈SEC〉という表記をラベルに記載することが義務付けられました。また同じく2016年には温暖化の影響で糖度が上がりやすくなった影響もあり、遅摘みブドウで造られた甘口ワインの糖度の最低含有量も引き上げられています。
※リースリングの場合、これまで1L当たり235gだったのが1L当たり244gに改訂されています。

ハッチ

フランスのアルザス地方は、ドイツ国境沿いに位置していて、歴史的にドイツ領にもなってるエリアなので今でもドイツの文化が色濃く残るんだ〜
ワインの味わいも少しドイツワインに近いニュアンスもあるんだ!

オーストリア🇦🇹

オーストリアでは、ヴァッハウのリースリングが有名でドイツとフランスのリースリングの中間に当たるような味わいのワインが造られます。
オーストリアもドイツと同じく糖度が高いほど格付けが高くなる法律になっていますが、2009年からEU新ワイン法の発行に伴い地理的産地の表示についての格付けも加わりインフラ設備が急上昇し、品質も高まっている産地でもあります。

オーストラリア🇦🇺

ヨーロッパ以外でリースリングの名産地と言えば、オーストラリアになります。
クレア・ヴァレーイーデン・ヴァレーグレート・サザンタスマニアといった産地のワインが注目されています。特にクレア・ヴァレーやイーデン・ヴァレーでは高い標高と冷涼な気候により鋭い酸味と柑橘系のアロマが際立ち世界的産地として名が知られています。オーストラリア全体では、いち早くスクリューキャップの導入が進み、鮮度が高く洗練されたスタイルのワインが造られています。

【地図参照元:vineyards.com(https://vineyards.com/wine-map/australia)】

アメリカ🇺🇸

アメリカでは、様々なエリアでミネラル豊かなワインが造られます。
ワシントン州では、ヤキマ・ヴァレーやホース・ヘヴン・ヒルズなどで広く栽培されています。カリフォルニア州では、モントレー群で多くニューヨーク州ではフィンガー・レイクスなどで栽培されています。

ハッチ

時代の流れに合わせて栽培や醸造方法を変化させて発展してきたリースリング。国や産地によっても色んな考え方やアプローチの仕方があって面白いね〜
自分のお気に入りの産地や生産者を見つけられるともっとワインが楽しくなりそう!!