ぶんぶーん!
今日はオーストラリアでパワフルなブドウ品種を見つけてきたよ〜
シラー〈シラーズ〉とは?
シラー〈シラーズ〉の特徴
シラー種は、房の大きさは小さめ〜中くらいで粒も小粒のブドウ品種です。果皮は分厚くタンニンを多く含み、アルコール度数は高くなる傾向にあるため、高品質で長期熟成型のワインが造られます。温暖で乾燥した気候を好む傾向にあり、熟成するスピードは、ピノ・ノワール種よりも遅くカベルネ・ソーヴィニヨン種よりも早いです。「黒胡椒」や「白胡椒」の香りが特徴的で、果皮に含まれるロタンドンと呼ばれる成分に由来します。冷涼なヴィンテージでは、ロタンドンの量が上がりやすく量が増えるにつれ黒胡椒から白胡椒へと香りが変化していきます。温暖な産地で造られるシラー種は、重厚でフルボディなスタイル、冷涼な産地で造られるシラー種からはスパイシーなミディアムボディのワインを生み出します。
産地によって呼び方が異なり、多くの産地ではシラー〈Syrah〉が一般的ですが、オーストラリアではシラーズ〈Shiraz〉の名で親しまれています。
シラー〈シラーズ〉種の血縁品種
ピノ・ノワールやサンジョヴェーゼのようにクローン種も数多く存在し、オーストラリアには50種以上のシラーズのクローンが存在すると言われています。
近年DNA鑑定により、モンドゥーズ・ブランシュ種とデュレーザ種という品種から自然交配により生まれたことがわかりました。また、同じくモンドゥーズ・ブランシュ種から生まれたヴィオニエ種と血縁関係が近いことがわかっています。そしてデュレーザ種の祖先であるピノ・ノワール種のひ孫にあたります。
香りや味わい
香り
スミレ、ブラックベリー、カシス、香辛料や黒胡椒や白胡椒などのスパイシーな香り。熟成が進むと皮革、トリュフやプルーンやビターチョコの香りも出てきます。
オーストラリアのシラーズからはユーカリの香りがするのも特徴的です。
味わい
凝縮した果実味と心地よい酸味、繊細なタンニンがあります。熟成が進むと味わいがよりまろやかに変化していきます。
品種名の由来
晩熟を意味するラテン語が由来とされているようです。〈諸説アリ〉
原産地と主な生産地
原産地
フランス ローヌ地方北部やドーフィネ地方だと言われています。
主な生産地
- フランス🇫🇷 ローヌ、ラングドック・ルーション、プロヴァンス、ロワール、サヴォア
- オーストラリア🇦🇺 ハンターヴァレー、バロッサヴァレー、マクラーレン・ヴェイル、マーガレット・リヴァー
- 南アフリカ🇿🇦 スワートランド、ステレンボッシュ、バール
- アメリカ🇺🇸 ソノマ、サンタバーバラ
- イタリア🇮🇹 シチリア州、トスカーナ州
- スペイン🇪🇸 ラ・マンチャ州、カタルーニャ州、アラゴン州
- アルゼンチン🇦🇷
- チリ🇨🇱 コルチャグア・ヴァレー
- タイ🇹🇭
- ミャンマー🇲🇲
栽培と醸造
温暖な気候では、果実味が豊かでアルコール度数も高く長期熟成型のワインを造りますが、冷涼な産地でも異なるスタイルで早めに収穫を行い、アルコール度数の低いライトなワインを造る生産者もいます。また、ピノ・ノワール同様に全房発酵〈除梗をせず房ごと発酵させる方法〉の比率を高めて醸造する生産者が多いこともシラー種の特徴と言えるかもしれません。
世界の有名産地
フランス🇫🇷
フランスでは、ローヌ地方、ラングドック・ルーション地方、プロヴァンス地方を中心に栽培されていますが、特にローヌ地方北部のシラーが有名です。ローヌ地方北部では、唯一A.O.C.で許可されいる黒ブドウ品種で、単一品種(もしくは白ブドウと一緒に)として醸造されることが多いことも特徴です。畑によりワインのスタイルが異なり、共通して少しかたいタンニンを持つワインを造ります。ローヌの中でも南抜きの斜面に位置するエルミタージュ、コート・ロティ、コルナス地区で造られるシラーは、全ての赤ワインの中でもトップクラスに重厚で凝縮した果実味を楽しむことができます。これらの産地で造られたワインはしっかりと熟成させることで産地の個性を十分に発揮するようになります。
※エルミタージュでは、シラー85%以上に白ブドウ品種のマルサンヌ種、ルーサンヌ種を加えることができます。
※コート・ロティでは、シラー80%以上に白ブドウ品種のヴィオニエ種を加えることができます。
※コルナスでは、シラー100%のワインが造られます。
ローヌ南部やラングドック、ルーションなどでも数多くシラーを栽培しており、ここではグルナッシュ種〈Grenache〉やムールヴェードル〈Mourvèdre〉、カリニャン種〈Carignan〉、サンソー〈Cinsault〉といった黒ブドウ品種とブレンドされることが多いです。
【地図参照元:vineyards.com(https://vineyards.com/wine-map/france/rhone-valley)】
オーストラリア🇦🇺
オーストラリアでは、シラー種のことをシラーズ種と呼んでいます。
フランスのシラー種と異なる部分としては、それほどタンニン〈渋み〉が多くないことが挙げられます。通常赤ワインを造る際、果皮と種子を漬け込んだ状態で発酵させますが、オーストラリアでは色素と旨みを十分に抽出したと判断したら果皮と種子を取り除き発酵させることが主流となっているためです。
また、フランスではフランス産のオーク樽を使用することが多いですが、オーストラリアではアメリカ産のオーク樽で熟成させるためココナッツやヴァニラを思わせる香りが特徴的です。
温暖なエリア
ハンターヴァレーやマクラーレンヴェイルのような温暖な産地では、香辛料の風味が凝縮した黒系果実の香りを持つ柔らかいスタイルのワインが生産されています。温暖で乾燥した気候のバロッサヴァレーでは、フルボディで滑らかなタンニンと熟した黒系果実の風味とアメリカ産のオーク樽から来る甘い風味が特徴的です。
冷涼なエリア
ジーロング、ヤラ・ヴァレーといった冷涼な産地では胡椒の風味が際立つシャープなスタイルのワインが造られます。
【地図参照元:vineyards.com(https://vineyards.com/wine-map/australia)】
パワフルさが炸裂するシラー〈シラーズ〉には、ハーブを効かせたラム肉を合わせたいですね〜想像しただけでたまんないな〜